保護対策と河川工事
オオサンショウウオが長年、生息してきた日本の川は、近年、とてつもなく変わってしまった。人間にとっての利便さ、人命最優先という大儀名分のもとの河川工事…。ダム、堰堤、コンクリート護岸などが、オオサンショウウオにとっては、致命的な障害となっていることを知ってほしい。
●住みかは川岸の横穴
  オオサンショウウオは普段、川岸に自然に作られた横穴や、大岩の下のすき間などを住みかとして暮らしています。身を隠すための巣穴は、大水が出たときにも流されず、また、好条件の巣穴は産卵場としても使われます。
 河川工事によって、このような横穴がなくなることは、オオサンショウウオにとっては、致命的とも言えます

●行動を妨げる堰堤
 繁殖期になると、オオサンショウウオは上流の産卵巣穴を求めて移動します。また、エサを確保するため、川の中をかなり移動するとされています。
 しかし、取水のための堰堤や砂防堤がその移動を妨げているのです。小規模な堰堤は、いまや無数にあり、オオサンショウウオだけでなく、川の中の生き物を孤立化させ、生態系さえもゆがめています。

●河川工事
  今、オオサンショウウオにとっての最大の敵は河川の護岸工事です。生息が確認されている河川でも、おかまいなしにどんどん工事が行われています。工事により隠れ家ごと生き埋めになったり、重機などによって傷ついたり、殺されたりしたオオサンショウウオもたくさんいたはずです。
 自然保護グループなどの指摘によって、どうにか工事が中断され、保全対策がされる有様です。しかし、それは我々のような地道な調査によって生息が確認されているところであって、それ以外の河川では、工事は野放しに行われているのが現状です。

●人工巣穴の住み心地は?
 保全対策としては護岸工事の際に、人工の巣穴を作ったり、隠れ家となるスペースを設置したりします。しかし、人間が考えた人工の巣穴がオオサンショウウオに気に入ってもらえるかは分かりません。このような工事はやっと始まったばかりで、まだ研究段階、改良の余地は十分にありそうです。その後の追跡調査が重要なのですが、お役所仕事は「作ったことに満足、その後は関係ない…」が本音のようです。

●建屋川の例
 兵庫県北部の小河川である建屋川で、水害による改修工事の際に、調査をしたところ、200尾以上のオオサンショウウオが発見されたのです。改修工事計画では全面コンクリート化されることになっていた河川で、まさかの発見だったのです。急きょ、保全対策工事がされましたが、これはほんの一例にすぎません。事前調査もなく、工事が決行される生息河川はあとを絶ちません。

繁殖期、堰堤を上ろうとするオオサンショウウオ。何度も繰り返し挑み、あきらめて戻る姿は痛ましい光景です。
護岸工事の際、人工的に横穴を作った例。しかし、画一的な工事で自然の巣穴とはほど遠く、その後の追跡調査や改良などの対策は不可欠なのだが…(大阪府能勢町内で)。
多くの横穴と遡上しやすいような階段状の落差が設置されたが、この光景は川ではなく、単なる排水路にしかすぎない。本来、川とは何なのかをよく考えて欲しい。(能勢町内で)
●ダムを止めた
ある年、京都市の鴨川上流にダムを作る計画が持ち上がった。そのこと知った住民や寺の住職が、鴨川上流に生息しているオオサンショウウオを反対のシンボルとして、「鴨川のオオサンショウウオを守ろう」と呼びかけ、ダム建設を阻止したという事例があります。オオサンショウウオを守ることは、景観、自然環境、そして、すべての生き物を守ることにつながるのです

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